新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針に基づいて、各業界でガイドライン作成が要請されました。
それを受けて、多数の業種についてガイドラインが策定されています。
休業要請にも応じず営業をする店舗が取り上げられたりして、ある意味注目を集めたパチンコ・パチスロ業界のガイドラインを調べてみました。
もちろん休業要請に応じて休業していたお店が再開するために作成されたものですが、営業継続中のお店にも参考になるガイドラインを簡単に説明したいと思います。
最後に、全文が読めるリンク先をつけておきますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
作成者
パチンコ・パチスロ産業21世紀会
趣旨
本ガイドラインは、地域の感染状況が一定の収束に向かい休業要請が解除されたパチンコ店等が、営業を再開する際の基準として策定しました。
ガイドライン抜粋
作成時点が令和2年5月21日でしたので、若干、古い言い回しに感じすかもしれませんが、営業再開に向けた基準ということです。
具体的な方策
感染拡大防止を最優先とする取組み
政府が収束宣言するまでの間は、遊技客及び従業員の感染防止、そして地域の方々に安心していただくために、何よりも感染拡大防止を最優先とする取組みが重要である。感染防止対策を怠り、万が一店内でクラスターが発生することがあれば、不特定多数が集まるパチンコ店等に対して休業を求める声が高まり、全国のパチンコ店等の営業はもとより、業の存続が危ぶまれる事態に成りかねないことを念頭に真摯に取り組んでいただきたい。
ガイドライン抜粋
休業要請に応じずクラスターを発生させれば、業界自体がなくなってしまうかもしれませんよという警告になってます。宣言が解除されたから終わりではなく、第2派が来ればまた休業要請があるかもしれません。
営業方法に関する取組み
広告宣伝の自粛
外出自粛(段階的解除を含む)が要請されている間は、来店を促す広告宣伝は自粛していきましょうということです。
遊技客の間隔確保(台間ボード、間引き営業)
遊技客の間隔を確保するため、
- 台間ボードの活用(ない場合は透明ビニールシート)
- 遊技台1台おきに電源を落とした間引き
- 通路幅が狭い店舗で間引き営業をする場合は、背中合わせが互い違いになるように
対策をとる。
店外照明の減灯
営業時間の短縮等と併せて、ネオンサインを含む店外照明の減灯についても配慮する。ただし、安全面を優先するため、駐車場及び通路等は減灯しない。
ガイドライン抜粋
ここまでするのか?と思いました。
営業時間短縮など
夜間の外出自粛要請等により、営業時間の短縮等を検討するようです。
リスク評価
パチンコ店等営業において、使用している設備及び提供しているサービスの内容に応じて、新型コロナウイルス感染症の主な感染経路である接触感染(1)と飛沫感染(2)のそれぞれについて、従業員や顧客等の動線や接触等を考慮したリスク評価を行う。
ガイドライン抜粋
店内の施設や機器、客の動線のどこに感染リスクがあるのか拾い出した項目です。このリスクに対応するためここから後ろの対策を講じるという構成になっています。
基本施策
対人距離の確保等
① 遊技客間について、対人距離を確保(周囲は(側面及び背面も含めて)できるだけ2メートルを目安に(最低1メートル)を確保するように努める。遊技機1台おき。)。遊技中の遊技客間の対人距離が確保できない場合は、アクリル板や透明ビニールシート等で遮蔽
ガイドライン抜粋
② 従業員と遊技客についても、①と同様に対人距離を確保
③ 人と人とが対面する場所(景品カウンター等)について、アクリル板や透明ビニールシート等で遮蔽
④ 感染防止のための入場者の整理(整理券、抽選器等を活用するなどして、開店時の列を減らす工夫をするなど、密にならないように対応する。発熱又はその他の感冒様症状を呈している者等の入場制限を含む(5(2)③において詳述)。状況によっては、発熱者を体温計などで特定し入場を制限するなどの工夫を検討する)。
フィジカルディスタンスを取って、対面接客をする部分については遮蔽カーテン設置して対応するということです。
消毒など
① 従業員及び遊技客について、手洗いや手指消毒を徹底
ガイドライン抜粋
② 入口及び施設内の手指の消毒設備の設置
③ 施設内の十分な換気(空調設備の活用及び騒音などに配慮した出入り口の常時開放)
④ 店内消毒の徹底
・トイレ、手すり、精算機等共用部分の1時間毎を目安とした定期的な消毒
・遊技客の入替わり時の遊技機周辺設備の消毒(消毒の状態が確認できるもの等の活用)
・遊技球、遊技メダル箱の消毒
⑤ 従業員のユニフォームや衣服は原則毎日洗濯
⑥ 従業員及び遊技客のマスク着用の徹底(マスク無着用の遊技客の入場の制限)
従業員及び遊技客のマスク着用の徹底を図る。また、正しい方法で着用するように
従業員への指導を徹底する。
⑦ 毎朝の従業員の体温測定及び体調の確認
従業員に対して、毎朝、検温することを義務付けし、検温及び体調の確認を徹底す
る。検温時に 37.5 度前後の発熱やだるさ、息苦しさがある場合は、感染防止を優先させ、無理な勤務をさせない。
⑧ 従業員の手洗い、うがいなどの衛生管理の徹底
手指消毒、マスクの着用は客と従業員ともに実施しましょう。人が良く触れる部分は1時間を目安に消毒作業をしましょうという内容です。重要ですが遊技球の消毒はどうやってやるのでしょうか?
開店前・入場時・営業中の取組み
開店前の行列対応
① 来店客の間隔確保
ガイドライン抜粋
遊技客同士が一定の間隔を確保(できるだけ2メートルを目安に(最低1メートル)
を確保するように努める。)できるように、並び列の工夫や立ち位置テープなどを活用する。
② 長時間の行列を避ける対策
整理券の配布や入場抽選システムの活用により、遊技客が並ぶ時間が短くなる工夫を検討する。
フィジカルディスタンスを意識した行列整理をしましょうということです。
入場時の確認
① マスク着用の徹底
ガイドライン抜粋
マスク未着用での入場を断る。
② 手指のアルコール消毒
手指消毒は、手洗いの励行を前提とし、消毒設備を入口に設置し職員が常駐するな
ど、入店する遊技客の手指の手洗い消毒を徹底する。その際、アルコールアレルギーの遊技客に注意すること、簡易手袋の配布も検討する。
③ 感染症の可能性がある方の確認
遊技客及び従業員の安全を守るため、感染症の可能性がある方のチェックを強化す
る。また、体調が優れない方、新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触がある方、過去 14 日以内に政府からの入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航並びに当該在住者との濃厚接触がある方の来店は控えていただくように事前案内する。
マスクの着用や手指消毒、体調の悪い人には利用を控えてもらう対応を案内することが求められています。
営業中時の取組み
① 県外居住者等の入場規制
ガイドライン抜粋
隣県が休業要請地域で越境して来店が見込まれる場合は、県外ナンバー車両の入場
規制や身分証明書の確認など、県外居住者の入場をお断りする。Web サイトや県外車両お断りの看板・ポスターを設置する。
② 店内の混雑緩和
通路等で立ち見がないように呼びかけを行う。また、遊技客数が増え密集の恐れが
ある場合は入場制限を行う。間引き営業の場合は、遊技客同士が間隔(できるだけ2メートルを目安に(最低1メートル)を確保するよう努める。)をとれるよう、1台おきに稼働させるなど、稼働台数の制限などを行う。
※ 入場規制を行う場合は、事前に遊技約款への記載や告知を行い、お断りする際に説明できるように準備すること
越境自粛の場合は越境利用の拒否と混雑時の利用制限について記載されています。
店内での取組み
景品カウンターでの対策
① 景品交換客の間隔確保
ガイドライン抜粋
景品交換の並び時に遊技客同士が一定の間隔を確保(できるだけ2メートルを目安
に(最低1メートル)を確保するよう努める。)できるように、並び列の工夫や立ち位置テープ等を活用する。また、混雑時は貯玉の推奨を図るなど並ばないように工夫する。
② 景品交換業務における感染防止
景品カウンターに飛沫防止シート(透明ビニールシート)を設置する。カウンター
接客時は手袋の着用を奨励する。
③ 景品陳列の変更
カウンター前にある端玉景品の陳列を変更し、遊技客が景品に手を触れないように
工夫する。
景品交換での行列整理、対面での飛沫対策、景品の陳列は手を触れないように求めることが書いてあります。
施設内の十分な換気
① 室内換気の徹底
ガイドライン抜粋
定期的に風除室等を開放する。空調設備を活用して換気回数を増やす。
② 空調設備の点検
適切な空調環境を維持するために、専門会社による空調設備等の定期点検を行う。
十分な換気をしましょう。
店内消毒の徹底
① 不特定多数が利用する共用物の消毒
ガイドライン抜粋
トイレ、手すり、精算機等の機器、エレベーター等の共用部分において、多数の人
が触れる場所は、1時間毎を目安として定期的に消毒する。
② ハンドルやボタン等遊技台周辺設備・備品の消毒
遊技客の入れ替わり時に遊技台周辺設備および遊技球、遊技メダル箱の消毒を行う。
消毒を徹底するために、消毒済み札を用意するなど、遊技客に伝える工夫も検討。
多数の手が触れる部分は消毒を徹底しましょう。
店内音楽(遊技機・BGM)を必要最小限にし、大声での会話の必要ない環境の保持
① 遊技機・BGM の音量を最小限に調整
ガイドライン抜粋
店内音量を最小限に設定し、大声での会話が必要ない環境を保持する。
② 遊技客と大声での会話を避けること
大声対策として、BGMの音量を絞るなどしましょう。
店内を走るなど、息が上がるような接客の自粛
店員が元気よく走り回るお店もありますが、そのような接客はやめましょう。
トイレ関係
① 便器内は、通常の清掃を実施
ガイドライン抜粋
② 不特定多数が接触する場所は、清拭消毒の実施
③ 便器の蓋を閉めて汚物を流すよう表示
④ ペーパータオルを設置もしくは個人用のタオルを準備
⑤ ウイルス拡散防止のためハンドドライヤーは止め、共通のタオルは禁止
トイレも清掃や消毒など徹底して行いましょう。
休憩ブース・喫煙ブース利用の際の注意事項の掲示(対面・会話の禁止等)
① 休憩ブース等の利用制限
ガイドライン抜粋
遊技客同士の会話や密集を避けるため、休憩室やソファー等の利用を制限する。 また、食事を取らないように案内する。
② 喫煙ブース利用の際の注意喚起
人と人との距離をできるだけ2メートルを目安に(最低1メートル)確保するように勤め、また、喫煙ブース内での対面会話の禁止や人数制限等、利用方法について注意喚起を行う。
休憩ブースや喫煙ブースはマスクを外すことも予想されるので、利用制限などで対策をしましょう。
遊技台での遊技客の食事の禁止
遊技台で遊技客が食事を取らないように案内します。
ゴミの廃棄
① 鼻水、唾液等が付いたゴミは、備え付けのビニール袋に入れて密閉して縛ること
ガイドライン抜粋
② ゴミを回収する人は、マスクや手袋を着用すること
③ マスクや手袋を脱いだ後は、必ず石けんと流水で手を洗うこと
ゴミの処理するときは、マスク手袋などを着用して処理しましょう。他の業界では防護服着用まで求めてありますが、そこまでの記載はありません。
遊技客・地域の方々への情報提供
感染防止対策に関する情報共有
① 取組みポスターの店頭掲示
ガイドライン抜粋
遊技客及び地域の方々の不安を解消できるように、自店が取組む感染防止対策をポ
スターなどで店頭掲示する。
② Web サイトなどの活用
企業及び店舗で取組む感染防止対策を積極的に情報提供する。
店での取り組みをポスターやWEBで客等へ情報提供して不安を解消しましょう。
感染者の滞在が判明した際の情報公開
保健所などから感染者の立ち寄りの連絡が来た際や、従業員が感染したとの報告を受けた際は、保健所の指導に従い店内消毒など必要な対応を行い、その結果を店頭及び Web サイト等で遅滞なく情報開示する。
ガイドライン抜粋
感染者が発生した場合は保健所の指導のもと、情報公開をしていきます。
従業員健康管理・バックヤードの取組み
バックヤードにおける3密対策
事務所や休憩所・喫煙室の換気を徹底し、消毒液を設置するなど、店内と同様の感染防止対策を行う。また、喫煙室の利用時も店内同様に気をつける。
ガイドライン抜粋
バックヤードも店舗内と同様3密対策の徹底を行いましょう。
従業員などの健康管理等
① 従業員への感染防止対策の指導
ガイドライン抜粋
従業員へ日々の感染症防止対策として、こまめに手洗い、うがい、マスク着用(咳
エチケット)等を指導する。また、プライベートにおいても、感染拡大地域への移動や3密にあたる場所を避けるなど、不要不急の外出を避けることを徹底する。
② 毎朝の検温と体調の確認
従業員に対して、毎朝、検温することを義務付けし、検温及び体調の確認を徹底す
る。検温時に 37.5 度前後の発熱やだるさ、息苦しさがある場合は、感染防止を優先させ、勤務をさせない。
③ 感染者が出た場合の対応
従業員・同居家族に感染が判明した場合に、本人及び保健所等からの報告先(店舗及び対策本部)をあらかじめ決めておく。感染者の情報は要配慮個人情報となるので、 その取扱いに注意し本部と共有する場合はあらかじめ従業員に同意をとっておく。
保健所の指示に従い、店内消毒や濃厚接触者の自宅待機等必要な対応をとる。情報
開示についても遅滞なく行う。
従業員の健康管理も毎朝の検温などで徹底し、異常があれば保健所等の指示を仰いで対応します。また、従業員の個人情報取り扱いについても事前に了解を得ておくことも求められています。
感染情報の把握と周知
厚労省の Web サイト及び地域における感染状況や専門家会議の提言等、最新情報の把握と従業員への周知を行う。長期間にわたる対策を継続するために、日々の情報更新と周知を徹底する。
ガイドライン抜粋
小まめに感染情報の収集を行い、従業員に周知しておきます。
その他の対策
・高齢者や持病がある方については、感染した場合の重症化リスクが高いことから、より慎重で徹底した対応を検討する。
・各店において、地域での感染拡大の可能性が報告された場合の対応について検討しておく。感染拡大リスクが残る場合には、対応を強化する。
・これまで新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が発表している「人との接触を8割減らす 10 のポイント」や「『新しい生活様式』の実践例」を周知するなどの取組みを行う。
ガイドライン抜粋
高齢者には配慮し、地域で感染拡大している場合には特に対策を強化していきます。
まとめ
他の業界に比べて、外からの風当たりも強く、しっかりとしたガイドラインとなっています。
実際にこのガイドラインに沿ってお客さんも協力してくれれば良いのですが、なかなか難しいのかもしれません。
緊急事態宣言中、意外とクラスター発生していないのも事実なので、これからも発生させない取り組みを進められることを願います。
最後にガイドライン全文のアクセス先を掲載しておきます。興味がある方はご覧ください。