様々な業界が、新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドラインを作成しています。
今回はその中でもアメリカンフットボールを取り上げてみたいと思います。
アメリカンフットボールも個人の能力もさることながら、チーム練習が一番重要な競技です。
なかなか、チーム練習やコンタクトがある練習が出来なくて難しい面はありますが、今できることをしっかりやってコロナ渦から脱出できた際には、他のチームよりも強くなっているようにしておきたいところだと思います。
少し、表現があいまいな部分もあり、わかりにくいと思いますので、わかりやすく解説したいと思います。
作成者
公益社団法人日本アメリカンフットボール協会
約束事
活動再開のプロトコール
チームの活動の再開は、所属する自治体や学校、企業などからスポーツ施設の使用が許可され、チーム活動が許可されることが前提になる。今後、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、政府、自治体の方針が変更される可能性があり、それに伴って本再開プロトコールも変更される可能性がある。
ガイドライン抜粋
所属する自治体等から許可に応じて段階(活動レベル)が定めてあります。
ただ基本的に、施設の使用許可はあると思いますが、その他については許可制度ではなく要請や要請の解除になると思います。
ですので、活動するために許可を取るのではなく、自治体等からの要請状況をみて判断するということです。
2) 各段階の説明
・フェーズ1は、緊急事態宣言下であり、自宅等での個人トレーニングが中心となる。
・フェーズ2は、緊急事態宣言が解除され、スポーツ施設の使用が許可され、チーム活動が許可された段階で、チームとして少人数グループ単位で、コンタクトなしにて、身体的距離をとった練習を行う。
・フェーズ3から4へは、集合する人数や練習の人数が増やされ、フェーズ4では部分コンタクトの練習が許容される。部分コンタクトとは、いわゆる衝突ではない身体接触、を意味する(例:WR、DBが競り合い接触するようなパスのマンツーマン練習、OLの手を張ったブロック、フォームタックル等)。部分コンタクトの練習時間は、徐々に増やすよう周到に管理する。
・フェーズ5では、人数制限なしの対人のフルコンタクトが許可される。・フェーズの進行は政府、自治体の社会経済活動の規制が順調に緩和された場合であり、感染が拡大して規制が強化された場合には、変更される。
ガイドライン抜粋
・フェーズ4から5に移行する時期は、慎重に判断する必要がある。今後、新型コロナウイルス感染症の状況によっては変更することもある。
ここにはフェーズの説明が書いてあります。ここをよく読んで上の表に当てはめてみて今どの段階で、どの程度の活動できるのか判断することになります。
3)練習時の注意
ガイドライン抜粋
・グラウンドにおいても密にならないように注意する。
・コンタクト練習以外の練習においてはなるべく身体的距離をとる。
・大声や発声は控える。
・つばを吐くのは控える。
・飲水用のボトルを回し飲みしない。
・練習前後はマスクを着用する。熱中症のリスクがある場合は身体的距離をとった上で外す。
練習中はマスクをしませんが、その前後は必ずマスクをするようにします。アメフトは声を出してなんぼのところがありますが、必要最低限しか声を出してはいけません。
4)再開に向けた注意
ガイドライン抜粋
・長期の自粛生活により選手の基礎体力(筋力、スピード、パワー、柔軟性、持久力、スキル等)は確実に低下している。したがって、特にフルコンタクトに進む前の段階で、例年以上に時間をかけた基礎トレーニングを実施する必要がある。
・練習・試合再開時におけるケガの増加が危惧される。米国NATAでは、新しいコンディションサイクルの最初の7日間は壊滅的に外傷発生リスクが高くなるとしている。また2011年、NFLでは春のロックアウトによる練習不足の影響で、8月の練習開始時に、アキレス腱断裂が例年の6倍発生したとの報告があり、筋バランスの改善、神経筋トレーニング等がその対策として挙げられている。
・体重が増加した選手は、筋量低下を伴った脂肪増加の可能性もあり、注意して是正する。
・今年度の新入生(新人)には、十分な体力トレーニングの期間が無かったため、特別な配慮が必要である。
・暑熱耐性の低下による熱中症増加の危険性があり、暑熱順化(期間は7~10日必要)と各種熱中症対策を積極的に行う。
普段でもケガが多いスポーツですが、コロナ渦で基礎体力が落ちて更にケガしやすくなっています。まずはじめは基礎練習を徹底し、基礎体力をしっかりさせてから本格的な練習を再開しましょう。
チームで実施すべきこと
1)チーム内に、感染対策担当者を置く。
2)選手、スタッフへの感染症対策の教育を行う。特に、練習以外の社会活動における感染症対策を徹底させる。
3)チーム活動に参加する選手・スタッフは下記の項目について毎日記録を残しておく。
・体温(起床直後・就寝前等の決まった時間での記録)
・体調(咳、のどの痛み、強い倦怠感、息苦しさなどの有無、睡眠時間等)
・行動記録(出かけた場所、同行者等)4)体温の高い者、体調に問題のある者はチーム活動に参加させない。
5)備品の準備、防具用具の管理。
・消毒に必要なアルコールを準備する。
・人数分のドリンク容器を準備する(回し飲みは禁止)。
・分別回収できるゴミ箱を設置する。鼻水、唾液が付着したゴミはビニール袋に入れて密封して縛り処分する。
・防具、用具は、各自が消毒および管理をする。ヘルメット、アイシールド、フェイスガード、チンストラップ、グローブ、シューズ等は、特に手で触れる部分を入念に消毒する。マウスピースはケースで保管し、コンタクトレンズの管理にも十分留意する。6)施設利用に関して
・部室、更衣室、シャワールームの利用に当たっては、密にならないようにする。共用部分で手が触れる部分の消毒を行う。
・更衣室、シャワールーム等を使用した際は、毎回清掃と消毒を徹底する。清掃は、市販の洗浄剤(界面活性剤を含有)や漂白剤も使用する。
・トレーニングジム(公共、民間)を利用する場合は、密にならないように注意し、自治体や施設管理者の指示に従う。
・ミーティング室の利用に関しては「3密」にならないように、人との身体的距離(2m)を遵守する。マスクを着用する、大声をあげない、十分な換気をする等の対策をする。7)感染が疑われる者が発生した場合
・[本人] チーム責任者に迅速に連絡する。
・[本人] 自宅安静とするが、症状が続けば、かかりつけ医、あるいは保健所へ電話で問い合わせを行う。詳細は「厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルスに関するQ&A」等で確認する。
・[チーム] 感染が疑われてPCR検査を受けた場合には所属する競技団体へ迅速に報告する。8)感染陽性者が発生した場合
ガイドライン抜粋
・[本人] PCR検査等で陽性が確認されたら、迅速にチーム責任者へ連絡を行う。
・[チーム] 所属する競技団体、学校、企業等に迅速に報告する。
・[チーム] 地域の保健所の指示に従い、濃厚接触者の確認などに協力する。
とにかく関係者が多いスポーツです。練習に参加した者から感染者が発生した場合でもすぐに対応できるように準備をしておきましょう。
チーム内には感染症担当者を置くと言うことは、特徴的な取り組みです。
日本協会加盟団体が実施すべきこと
1)連盟(協会)内に、感染対策担当者を置き、チームとの連絡窓口を設置する。(個人情報の取り扱いに十分注意する)
ガイドライン抜粋
2)ガイドラインを連盟(協会)傘下の全てのチームに周知徹底する。
3)ガイドラインを公式HP等に掲示し、ダウンロード等も可能にする。
4)ガイドラインを必要に応じて関連企業・学校・保護者等にも周知する。
5)大会、試合開催時の感染症対策については、「JSPOスポーツイベント再開ガイドライン」等を参照して、今後策定する。
6)日本協会加盟団体傘下のチームから感染陽性者が発生した場合は、本人、チームは地域の保健所、学校、会社の指示に従う。チームの活動、試合参加については、各日本協会加盟団体で方針を決めておく。
試合や大会の開催に関しての感染症対策については、これから策定されるようです。とにかく感染対策担当者を置いて、責任の明確化、連絡体制の確立を主眼に置いているようです。
まとめ
アメフトの再開は非常に難しいと感じました。
とてもケガが多いスポーツですので、試合や大会が開催できるような状況になるまでは、基礎体力トレーニングを中心とした練習をした方が良いと思います。
また、大所帯のスポーツでチーム内での統率を取るためには連絡体制や責任の所在の明確化などをしておく必要もあります。
いつの日か大会が開催されることをイメージしながら、段階的に取り組みを進めていく必要があります。
最後に、ガイドライン全文のリンク先を張っておきますので、興味のある方はぜひご覧ください。