株式投資では、配当金や株主優待などのインカムゲインを狙う方法と、株の売買価格差によるキャピタルゲインを狙う2つの方法があると以前に話したと思います。しかし、株を長期にわたって保有する場合にはもう1つの方法として、「貸株」という方法があります。
自分が保有している株式を、証券会社に貸し出し、その金利分を得るという方法です。
あまり聞きなれないかもしれませんが、うまく活用すると、予定以上に稼ぐことができますので、今回は「貸株」について詳しく説明したいと思います。
株を長期にわたって保有しようと思っている方は、注意事項はありますがぜひ参考にしてください。
貸株って何?
貸株とは株式を貸し出すことを言います。一言で貸株と言っても株式投資の世界では以下の2種類の方法が存在します
株主が証券会社に貸し出す方法
文字通り、我々株式を購入して保有している株主が、証券会社に株式を貸し出す方法が1つです。
この場合には、株主は対価として証券会社から貸し出し分にかかる貸株金利を受け取ることができます。
証券会社から株主が借りる方法
逆に証券会社から投資家が借りる場合もあります。これは信用取引で俗にいう「空売り」をする場合です。投資家は証券会社から株式を借りて、それを売ります。この場合には、貸株料を投資家が証券会社に支払うことになります。
証券会社は、株主から借りた株式を信用取引で空売りする投資家に貸し出すこともあります。
今回の記事は、株主が証券会社に株式を貸し出す場合について詳しく書きますので、それを前提に読み進めて行ってください。
貸株のメリット
貸株のメリットは、以下のとおりとなると思います。
貸株を行う大きなメリットが、貸株金利を受け取れるということです。例えば、貸株金利が年率1.0%の株式銘柄を200万円分貸し出した場合、年間に2万円の金利分を受け取ることができます。
銘柄ごとの貸株金利は証券会社がそれぞれ定めていますが、高いものには年利が10%を超える銘柄も存在します。保有している株式を貸し出すだけで、貸株金利を受け取れるというのは、株式投資における旨味の1つになります。
また、長期保有している場合でもインカムゲイン以外の収入が得られるということも大きいと思います。通常貸株をしない場合、株式を長期保有している間は基本的に売買しないため、配当金か株主優待のインカムゲインしか収入が発生しません。そこへさらに貸株金利という新たな収入が得られることは大きいと思います。
そして、貸株をした場合には、直ぐに売買できないのではないかと思われがちですが、売りたい時にはいつでも売却できます。
貸株のデメリット
通常、貸株をしている間は配当金を受け取ることができません。株主優待などを楽しみに株式を購入している場合には注意が必要です。
もし権利確定日をまたいで貸し出す場合には「貸株配当金相当額」という配当金と同じ金額がもらえます。ここで注意が必要なのが、貸株配当金相当額は、税法上雑所得として取り扱われます。配当所得として取り扱われませんので、総合課税としての確定申告が必要です。株式投資による過去の損失と相殺できる損益通算の対象にもなりません。配当所得以上の課税となることがありますので注意が必要です。
金額が大きい人は特に注意が必要です。
さらに注意が必要なのは、貸株先の証券会社が倒産した場合には、株が戻ってこないと言うことです。貸株を行っているのは大手の証券会社ですので、いきなり倒産することは考えられませんが、そういうリスクがあると言うことも知っておく必要があると思います。
貸株をする方法
基本的にネット上で手続きは完了します。
株式を保有している証券会社のホームページにアクセスし、設定方法や設定内容は、それぞれの証券会社によって異なりますが、必要事項を選択することによって貸株を開始することができます。
先ほどデメリットで上げた株主優待や配当金を受け取るようにできる方法もあります。権利確定日前に一度貸株をやめ再度貸株を開始するという手続きを自動的に繰り返す設定にする方法です。この場合でも、継続して保有しなければ受け取れない株主優待については受け取ることができません。
このように、様々な設定がありますので、先ずは証券会社のホームページで良く内容をチェックしてから始めた方が良いと思います。
まとめ
貸株とは、保有している株式を貸し出すというものです。
それは、株主が証券会社に貸し出す方法と証券会社が投資家に貸し出す方法の2つがあります。実際には株主が投資家に直接貸し出すパターンもありますが、これは稀なケースです。
もちろん、貸し出しですので「貸株金利」や「貸株料」が発生します。
長期間株式を保有している場合、配当金や株主優待などのインカムゲインしか利益を得ることはできませんが、貸株をすることによって新たな利益を上乗せすることができます。
貸株金利も、配当金や株主優待などを受け取らない形で設定した場合には、高くなるように設定されたりしています。
実際に貸株を始めようと思ったときには、どのような条件なのかしっかり確認しておく必要はありますが、すべての手続きがネット上で完了するので、比較的簡単に始めることができます。
また、株を売りたい場合にも、売り注文さえすれば、貸株のキャンセルも同時に行えるようになっており簡単です。
キャピタルゲイン狙いで株保有している方にはお勧めしませんが、インカムゲイン狙いの人は、検討してみる価値はあると思います。
一度、証券会社のホームページで確認してみてください。