株式投資をする場合、どうしても日中にしか証券取引所は開いてなく、サラリーマンなど日中にタイムリーな取引ができない人は多くいると思います。特に日中に何かイベントが起こってしまうと対応しきれないことが往々にしてあり、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そういう人におススメなのが、PTS取引(夜間取引)です。
今回は、夜間でも株式の取引が行えるPTS取引についてわかりやすく解説していきたいと思います。
PTS取引を活用して、株式投資の幅を広げましょう。
PTS取引とは?
PTSとは、日本証券業協会の定める「上場株券等の取引所金融商品市場外での売買等に関する規則」などにしたがって行われる取引所金融商品市場外取引のことです。「Proprietary Trading System」の頭文字をとって「PTS」です。
PTS取引には8時20分から16時までのデイタイムセッションと、17時から23時59分のナイトタイムセッションがあります。日中に取引が行えない人にはないとタイムセッションが有効だと思います。
指数先物取引の日中取引開始時刻は8:45からはじまるので、寄付(9:00)前に相場が動く可能性があります。PTS取引なら朝8:20から取引できるので、寄付前の相場状況を見ながら一足早く、投資をすることも可能です。と言うことは、始業前に取引を行うことができるので、通勤で活用している人もいるようです。
日本国内でのPTS取引所は2か所
日本国内でPTS取引を扱っている取引所は、「ジャパンネクストPTS」と「チャイエックス(Chi-X)PTS」の2つのみとなります。
各個人がこの取引所と直接取引するわけではなく、それぞれの取引所と取引のある証券会社を通して取引することになります。
ジャパンネクストPTS
ジャパンネクスト証券(大株主:SBIグループ)が運営するPTS取引所です。2007年8月からサービスを開始し、当初は夜間取引だけでしたが、2008年10月28日から昼間の取引も開始しました。長い間、取次ぎができる日本の証券会社はSBI証券だけでしたが、2017年12月25日からは楽天証券が、2018年3月19日からは松井証券が、2018年8月27日からカブドットコム証券もジャパンネクストPTSへの取次ぎを開始しています。
チャイエックスPTS
チャイエックス・ジャパンが運営するPTS取引所です。野村HDの子会社が議決権ベースで株式の34%を保有しており、世界のPTS業者で最大手の欧州のチャイエックス社が2010年に日本法人を立ち上げPTS取引所を開設して始まりました。日本市場への参入当初は、黒船と呼ばれることもあり、東京証券取引所でも当時の斎藤淳CEOが、東京証券取引所のシェアを脅かしうる存在であると危機感をもって注視していました。2017年12月25日からは楽天証券においてもチャイエックスへの取次ぎを開始されています。
過去には約10年前にブームがあり、各証券会社などがPTS取引所の開設を目指していましたが、2012年までには現在の2か所になっています。
海外に比べ、証券取引所とPTS取引所との手数料の安さなどメリットが少なく、取引が広がらなかったことが現在の状況になっています。
PTS取引のメリット
メリットとしては以下の3点があげられると思います。
①証券取引所が取り扱えない時間に取引ができる
通勤時間帯の8:20~9:00、昼食時間帯の11:30~12:30、終業後15:00~23:59と実際には証券取引所が開いていない時間に株式の取引ができることが最大のメリットです。各会社の決算などは15時以降に発表されることが多く、PTS取引ですぐに対応できます。
②手数料が安い
各証券会社のホームページで確認してほしいのですが、通常の株式取引と違い、手数料が安くなっています。特にナイトタイムは安くなっていますので、確認してみてください。
③有利な価格で買うこと売ることができる
通常の株式取引価格とPTS取引価格とが異なる場合があり、安い方で買って、高い方で売るということもできます。PTS取引の方が有利な価格となっていることもありますので、必ず、価格に差がないかチェックしましょう。
PTS取引のデメリット
デメリットとしては以下の3点が考えられます。
①すぐに取引できない場合がある
全体的に注文数が少なく、注文してもすぐに約定しない場合が往々にしてあると言うことが最大のデリットです。PTS取引のほうが大きく値動きする場合もあるのですが、売り買いの注文が少なく折り合わない場合には一向に価格も動かない場合もあります。
②注文方法が限られる
注文方法は、指値注文に限られているところも難しいところです。通常であれば、逆指値であったり、成り行き注文であったりできるのですが、指値注文に限られているとことが、通常の株式取引に慣れている人にとっては難しいところだと思います。
③取り扱いできる証券会社が限られている
増えては来ましたが、取り扱いできる証券会社が限られているというところもデメリットに挙げておきます。普段取引のある証券会社で取り扱いがないかもしれませんので、対応している証券会社に新たに口座開設しなければならないかもしれません。
まとめ
PTS取引とは金融庁などから認められた「私設取引所」で行われる取引の事です。証券取引所が実際に取引を行っている時間以外の時間で取引を行える取引で、夜間などに発表される重大案件に対応した株式取引が行えるのが特徴です。
日本国内でのPTS取引所は2か所あります。取引所と個人が直接取引するわけではなく、間に各証券会社が入ります。各証券会社に注文を出す形になりますので、証券会社ごとに手数料等の差が出てきます。
PTS取引のメリットとしては、日中、仕事などでタイムリーな取引できない人が取引できるというところが一番大きいです。また、証券取引所の時間外に発表される重大な事項にもその場で価格に反映できるのもメリットです。手数料が安いというところもあります。
PTS取引のデメリットとしては、参加者が少なく取引ができない銘柄あったり、証券取引所の価格と大きく差ができている銘柄があったりするところです。また、注文方法も指値注文しかなかったりするなど注文方法も限定される部分があります。
PTS取引は日中に株式取引ができない人にはとにかく有効な手段なので一度、やってみられることをお勧めします。ただし、全体の金額や参加者が少なく、思うように取引ができない場合もありますので個別のルールや傾向をまず把握してから始めた方が良いです。
私も、チャート分析をして、「この銘柄は、この価格から何円までの上昇幅があるから取引しよう」と思って実際の取引画面に向かったら、すでにその上値を超えていたなんてこともありました。
PTS取引は癖(PTS取引所の流れ)を把握しながら行えば、そこまで難しいものではありません。日中の空売りを利益確定させるなど裏技的な利用の仕方もあります。とにかく自分なりのPTS取引活用法を見つければ、強い武器にできると思います。
皆さんもPTS取引を始めてみましょう。