新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインが様々な業界で発表されていますが、オリンピックでも注目を集め全国に拡大してきているクライミングジムについてのガイドラインについて発表されています。
このガイドラインは、どちらかと言うとゲームセンターやスポーツジムなどと同じような内容になっています。
内容は若干長いですが、わかりやすく要点をまとめ説明したいと思います。
これに目を通してから、クライミングジムに出かけましょう!
作成者
公益社団法人 日本山岳・スポーツクライミング協会 (スポーツクライミング医科学委員会)
趣旨
クライミングジムの再開に向けたガイドラインです。
あくまでも三密を解消し、感染拡大防止をするためにすべきことを例示しています。ただし、これをクリアすればジムを再開してもよいというわけではなく、開設者自身の判断で再開することを求めています。
具体的な内容
利用者に対する掲示
施設管理者は利用者に対し、感染拡大防止のために遵守すべき事項を示し、協力を求める必要がある。
ガイドライン抜粋
(1) 以下の事項に該当する場合は自主的に利用を見合わせること。
⚫ 発熱、咳などの症状がある場合
⚫ 家族や身近な知人に感染が疑われる方がいる場合
(2) マスクを持参させること。
(3) こまめな手洗い、アルコール等による手指消毒を実施すること。
(4) 他のクライマー、ジムスタッフ等との距離(可能であれば 2m 以上)を確保すること(障がい者の誘導や介助を行う場合を除く)。
(5) 大きな声での会話、応援、グータッチを控えること。
(6) 飲料物は蓋付きのものを準備すること。
(7) その他、施設管理者が定めた遵守事項に従うこと。
(8) 施設利用後 2 週間以内に新型コロナウイルス感染症を発症した場合は、施設管理者に速やかに報告すること。
まず、感染拡大防止のための取り組みを利用者に呼びかけましょうと言うことです。
グータッチを控えましょうというところは、スポーツクライミングらしくて良いですね。
受付時の具体的対策
(1) ジム入口や受付窓口には手指消毒剤を設置すること。
ガイドライン抜粋
(2) 受付時に検温を行い、37.5 度以上であった場合は利用を控えるよう促すこと(※)。
※体温計は接触感染や消毒の手間の観点から非接触型の体温計が望ましい。
(3) 受付窓口には、アクリル板や透明ビニールカーテン等での遮蔽を考慮すること。
(4) 受付の順番待ちで密集しないよう、足元に目印を設置すること。
(5) マスクを持参していないクライマーに対し、購入できるよう準備すること。
(6) インターネットや電子決済を活用し、受付での書面の記入や現金の授受を避ける試みを行うこと。
(7) 現金の授受の際は、トレイを介して行うこと。
(8) ジム内が密になるおそれがある場合は、利用時間の制限や入場制限、Web 予約制による利用者管理等を考慮すること。
クライミングジムのお客さんの層を考えてもWEB予約や電子決済なども簡単に取り組めることばかりかと思います。
ただし、受付のスペースが十分に確保できない施設もあるかと思いますので、そこは工夫が必要です。
施設管理者が準備・対策すべき事項
手洗い場所
①手洗い場所には石鹸(ポンプ式が望ましい)を用意すること。
ガイドライン抜粋
②「手洗いは 30 秒以上」等の掲示をすること。
③手洗い後に手を拭くためのペーパータオル(使い捨て)を用意すること(※)。
※布タオルやジェットタオルは使用しない。
トイレ等に手洗い場所が設けられているところが多いと思いますので、次の項目と併せて対応策を取った方が良いかと思います。
更衣室、休憩スペース、トイレ
更衣室や休憩スペース、トイレは、競技エリア以上に感染のリスクが高いことに留意する必要がある。
ガイドライン抜粋
①更衣室における密を避けるために、一度に入室する利用者の数を制限する等の措置を講じること。
②休憩スペースでは対面で食事や会話をしないようにすること。
③更衣室内、休憩スペース、トイレで不特定多数の利用者が触れるもの(ドアノブ、ロッカーの取手、テーブル、イス、水洗トイレのレバー等)についてはこまめに消毒すること。
施設内で一番、感染リスクが高い部分になるかと思います。マスクの着用等も含めて対応をするべきかと思います。
用具の管理
クライミングジムにおいては、通常チョーク、シューズ、ハーネス、ロープ等の貸出を行っているが、シューズ以外の貸出は原則行わないこと。貸出を行う場合は、利用者を特定できる工夫をするとともに、貸出前後に消毒を行うこと。
ガイドライン抜粋
一応書いてありますが、できれば貸し出しを行わない方法を取った方が良いかと思います。収益が高い分野かもしれませんので、どうしても貸し出しを行う場合には消毒を積極的に行うべきです。
設備・環境の管理
①換気
ガイドライン抜粋
多くのクライミング施設は屋内であり、換気のための窓や扉が十分でないことが想定される。定期的に窓を開け、外気を取り入れること(1 時間に 1 回 10 分程度)が基本であるが、困難な場合は業務用空気清浄機の導入を考慮する必要がある。
②ホールドの消毒の是非
新型コロナウイルス感染症の感染様式のうち接触感染が占める割合は少なくない。不特定多数のクライマーが繰り返し触れるホールドにはウイルスが付着している可能性がある。
一方で、乾燥した物体の表面でのウイルスの生存は安定しないとの見解もある。また、ホールドをその都度消毒することは現実的に難しい。ホールドの消毒を積極的に支持する根拠はなく、各クライマーの手洗い、手指消毒の徹底が優先事項である。
③ボルダリング壁の区画化
クライマー同士の密接を防ぐために壁を区画化し、その境界をテープで明確にすること。
各区画の課題にトライできるクライマーは 1 人とすること。
④ルートや課題の配慮
隣接するラインが近くなりすぎないようセットすること。
⑤イベント・コンペ
多くのクライマーが密集するようなイベント、コンペは当面の間自粛すること。
ホールド等の消毒は現実的に無理かと思います。むしろ換気や手指の消毒の徹底で十分かと思いますので、換気と手指消毒の徹底を図りましょう。
清掃・消毒
クライミングジム内にはチョークの粉塵が浮遊し、マットや床に堆積する。掃除機での清掃やモップ、雑巾での水拭きを定期的に行い、チョークの堆積を最小限にとどめることが望ましい。終業後には市販されている界面活性剤含有の洗浄剤や漂白剤を用いて清掃することが求められる。
ガイドライン抜粋
清掃も小まめにした方が良いかと思います。
ゴミの廃棄
施設内に設置するゴミ箱は蓋付きのものを準備すること。ゴミの収集にあたってはマスクおよび手袋の着用が必須であり、作業後には手洗いや手指消毒が必要である。
ガイドライン抜粋
ゴミ処理は特に注意が必要です。もしできるのであれば防護服まで用意して対応しても良いかと思います。作業後には絶対に手指消毒が必要です。
(7) ジムスタッフの管理
①スタッフの体調を把握し(検温や体調チェックリストの作成)し、熱や咳などの症状がある場合は出勤を自粛させること。
ガイドライン抜粋
②スタッフには常にマスクを着用させること。
スタッフの体調管理は、出勤前と勤務中に分けて規定を設けても良いかと思います。無理のない勤務体制とすることも重要です。
クライマーに準備・対策してもらうべき事項
(1) 自身の体調を把握し、熱や咳などの症状がある場合は活動を自粛すること。
ガイドライン抜粋
(2) マスクは原則常に着用すること(※)。
※マスクを頻繁に着脱する行為およびマスクの放置が感染の契機となる可能性があるため、マスク着用の状態を維持することが望ましい。ただし、呼吸困難や熱中症、その他身体への影響が現に起こっている場合はこの限りではない。
(3) 登っている、マット前で待機している、休憩している、いずれの状況においても周囲の人となるべく距離(可能であれば 2m 以上)をあけること(障がい者の誘導や介助を行う場合を除く)。
(4) 入店時、活動開始前、休憩前後、飲食前後、トイレ利用後、退店時等、こまめに手洗い、手指消毒を行うこと(※)。
※感染予防のためのアルコール消毒は濃度 70%以上が推奨されている(米国疾病管理予防センターでは 60%以上を推奨)。液体チョークにはアルコールが含まれており、十分な検証はできていないものの抗ウイルス効果が期待される。また、粉チョークと比較し飛散の低減にも繋がる。
(5) チョーク、ロープ、タオル、飲料物等は共有しないこと(※)。
※リードクライミングにおいてロープを共有する場合は、ロープを咥える行為を避けること。
(6) 飲料物は蓋付きのものを準備すること。また飲み口を直接手で触れないよう注意すること(※)。
※熱中症および脱水には十分留意し、水分摂取に関しては無理な制限をしないようさらなる注意を払うこと。
(7) 施設内での食事を控えること。
今までの取り組みのおさらいになっているような項目です。飲み物の補給は一番危険な部分ですので、お客さんに徹底しおきたいところです。
その他の留意事項
施設利用者あるいはジムスタッフに感染が発生した際は、地域の生活圏における自治体の衛生部局(保健所など)に報告し対応を仰ぐこと。
ガイドライン抜粋
感染が発生したときはもちろんですが、発生前から保健所などに小まめに相談する体制を整えておくといざと言うとき約に立つかと思います。
まとめ
立地条件等により三密にどうしてもなってしまいがちなクライミングジムですので、できる限りの対応はしておく必要があります。
ガイドラインに書いてないですが、大音量で音楽を流すことも、大声につながってしまいますので、最大限絞っておくことも必要です。
自分で最大限できることはやっておきましょう。
ワクチンができるまでは、このウイルスとつきあっていくしかありません。