年金制度の改正で支給開始年齢の幅が広がったがいつが得なの?(その2)

健康
損益分岐

 令和2年5月29日、第201回通常国会において、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、令和2年6月5日に公布されました。

 年金制度は5年に1回見直されるのですが、今回も大きく変わりました。

 年金の支給開始年齢も60歳から75歳までの中で選択できるようになり、かなり自由度が増しましたが、65歳以前であれば年額の割引、66歳以上で支給開始すれば割り増しされる仕組みです。75歳から支給開始を選択すると最大で約84%の割増となります。

 自分の仕事での収入や健康面、などを考慮し、実際に何歳までもらうつもりなのかで、かなり差があります。

 今回は、改正点について複雑ですができるだけわかりやすく説明したいと思います。

 ご自分の老後のライフプランを考えながらご覧ください。

 ※今回はその2として制度が変更されて、いったいどのような人生設計すればよいのかモデルライフプランの提案です。

繰上げと繰下げの計算方法

年金は受け取り時期を、65歳を基準として、早く受け取る場合を「繰上げ」、遅く受け取る場合を「繰下げ」と言います。

繰上げの場合には、月額あたり0.4%分の減額となりこれに繰上げする月数を掛けて金額が決まります。

逆に、繰下げの場合には、月額あたり0.7%分の増額となり、これに繰下げする月数を掛けて金額が決まります。

具体的な例で説明しますと、例えば65歳で受け取る場合の年金額が10万円の人で計算すると、

繰上げの例(60歳から受給する場合)

減額率 : 0.4×12か月×5年=24%

受給額 : 100,000円×(100-24)%=76,000円

繰下げの例(75歳から受給する場合)

加算率 : 0.7×12か月×10年=84%

受給額 : 100,000円×(100+84)%=184,000円

という計算になります。実際には掛金から個人でばらつきがありますので目安でご覧ください。

平均寿命

年金をいつもらうか?支給開始時期の見極めで一番重要な判断材料は、自分はいったいいつ死ぬのかと言うことです。

実際には誰にもわかりませんが、平均寿命で判断するしかないと思います。

男性の平均寿命は、81.25歳

女性の平均寿命は、87.32歳

2018年の数字ですが上記のようになっています。

更に重要な数字で、

75歳まで生きる割合は女性が88.1%男性が75.6%

90歳まで生きる割合は女性が50.5%、男性が26.5%

となっています。

女性は、半数が90歳までは生きられると判断できそうです。

一応参考までに、平均寿命は調査年(2018年)に生まれた人が、その時点の死亡原因や死亡率を考慮して何歳まで生きられるのか計算したもので実際に今生きている人の平均ではありません。

半数が生存していると推定される「寿命中位数」は女性で90.11歳、男性は84.23歳となりますのでこのあたりが一番の目安になると思います。

損益分岐点は?

それでは損益分岐点がどこななるのか計算してみたいと思います。

先ほどと同様に「繰上げ」「繰下げ」それぞれで65歳支給基準額が10万円の例を参考に計算してみたいと思います。

総支給額での比較になりますが、以下のグラフのとおりとなります。グラフの数字の単位は万円です。

人生の道しるべ作成
人生の道しるべ作成

60歳から繰上げ受給をした場合は、81歳から82歳のあたりで損益分岐点を迎え、65歳受給の方が有利となります。

また75歳から繰下げ受給の場合は、86歳から87歳のあたりで損益分岐点を迎え、75歳受給の方が有利となります。

結論

ここまで説明してきたとおり、男性と女性でかなり条件が違ってきます。

男性の場合は、大半の方は、繰下げを行わずに仕事の状況を考えていつでも受給を始めればもらえる年金総額はあまり変りません。平均以上に長生きをする方はもちろん、受給開始時期を後にすればするほど有利にはなります。

また、女性の場合は、75歳まで繰下げてから受給した方が、有利となります。

ここまでは、実際にもらえる金額の総額でお話ししていますが、これはあくまでも目安です。

もし、早くに寝たきりになったりした場合には、その時点で受給を開始したりすればよいと思います。また、実際にもらえる金額で十分に生活できるのであれば、その時点で受給を開始すればよいと思います。

人それぞれで、健康面や年金額が大きく違っていますので、自分の受給金額を実際に計算してみて、年金をもらう時期を考えればよいと思います。

私は団塊ジュニア世代ですが、多分、年金の金額は少なくなると思っています。

自分で計算する場合には、65歳で受給する金額は現在の6割程度で考えています。

1度しかない人生ですから、後悔しないよう老後の事も考えておきましょう!

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