2019年参議院選挙で話題に
MMT理論って簡単に言うと?
MMTとは、Modern Monetary Theory(モダン・マネタリー・セオリー)の頭文字をとった理論で、日本語になおすと「現代貨幣理論」と訳されます。
一言で説明すれば、「自国の通貨を発行する中央銀行をもっている国は、いくら借金をしても大丈夫」という理論です。
えっ!!!理解不能!
日本は借金が多すぎると思っていたけど、大丈夫なんだなって思った人もいるかもしれません。本当にこの理論、大丈夫?と持った人もいると思います。
今回は、MMT理論を誰にでも理解できるように、簡単にまとめてみました。
この記事を読み終わるころには、皆さんの疑問が解決しているはずです。
れいわ新撰組の経済対策の柱
2019年ににわかに話題となり、日本では、2019年7月の衆議院選挙で大躍進を遂げた「山本太郎が率いたれいわ新撰組」の経済政策の主張の中心として日本国内で認知されるようになりました。
MMT理論の概要
MMT理論の歴史
MMT理論の歴史は意外と新しいですが、その根幹にある理論は結構古い歴史があります。
MMT理論が生まれたのは1990年代です。
そして2019年1月にアメリカの下院議員が、自らが主張する政策(グリーンニューディール、学生ローン負債を負う学生救済など)の財源について正当性を主張するためにこの理論を持ち出し世界的に論争を巻き起こしました。
この理論に賛成するケルトン教授が「巨額の財政赤字を抱えながら、インフレも金利上昇も起こっていない日本はMMT理論の成功例だ」と言い出したので、にわかに日本でも注目されるようになり、2019年の参議院選挙でれいわ新撰組が取り上げたところから更に国内で注目を集めました。
MMT理論の根幹的考え方
私も含めて経済学を全く知らない人にとってわかりやすく説明すると、
「自分が発行する通貨で借金していればいつまでも破綻しない。」
というものです。
日本に当てはめてみれば、「国が借金して、その返済に必要なお金は日本銀行券を更に発行して充てていけば一生破綻しない。」と言うことになります。
要は、国はお金を自ら発行していればいつまでも自転車操業が続けられるという理論です。
国はいくら借金を増やしても破綻しないので、どんどん支出を増やして事業をしていけばよいと言うことにもつながります。ですので、国会議員が財源確保の切り札として提唱したということになります。
MMT理論の問題点
日本の仕組みでは、国が国債を発行してそれを直接、日本銀行が買い受けるということはできません。法律で禁止されています。基本的には、市中銀行がまず国債を買って、その市中銀行が保有する国債を日本銀行が引き取るという流れになっています。
もう1つの問題点は、経済成長が前提となっており、経済成長率が国債の金利より高くないと機能しない、うまくいかない、破綻してしまう理論になります。
現在の日本のように、経済成長がマイナス成長で、デフレに陥っている状況は全く想定されていません。
財政政策と経済政策との考え方
財政の基本として、
経済の状況が悪ければ、財政支出を増やし世の中の貨幣を増やす。(インフレになる)
経済が好転し成長していれば、税金を増やし貨幣を回収していく。(インフレの抑制)
財政支出に当たるのが経済施策になります。
日本の経済政策などの過ち
1990年代バブル期以降の日本の経済政策は、アメリカやイギリスの新自由主義に基づく政策を参考に展開されてきました。もちろんそれは、インフレを抑制するために展開されてきたものであり、デフレになった日本にとって正に逆方向の政策でした。そのため更にデフレとなり、20年間もインフレが起こることはありませんでした。
デフレの最中または、経済成長率が増税率よりも低いのに消費税を増税してしまったことは更なる過ちです。
まとめ
MMT理論はかなり粗削りで、経済理論と言うには貧弱なものです。
しかし、我々が思い込んでいたことが間違っていることも指摘した(気づかせた)ことは大きいと思います。
金融機関等の実務者は良く知っている「信用創造」に着目し理論展開していますが、このことが多くの気づきにつながっています。
国の財政は基本的に税金を集めてその財源の中で、公共事業を行うと思っていましたが、実際には、税収以上の公共事業を行っています。
新自由主義も限界を迎え、世界の潮流となる新しい理論が望まれているのも事実です。MMT理論を現在の経済と細かく突き合わせてみて、更に今までの経済論とも突き合わせてみれば新たな経済論が誕生するのかもしれません。
これからの未来を考えていくためにはMMT理論は必要だと思いますが、あまりにも粗削りすぎるので鵜呑みはだめだと思います。
やはり国の借金は、経済状況が悪ければ増やし、経済が良くなれば増税で減らしていくという基本は変えられないと思います。