皆さんは「ESG投資」という言葉を耳にしたことはないでしょうか?
これは、世界で主流になりつつある投資方法です。
アメリカなどの機関投資家などは、ただ単に投資をするのではなく、環境問題などに配慮した経営を行う企業に対して投資しているのか等を厳しくチェックされる風潮にあります。
例えば、東京電力など日本国内の電力会社が地球温暖化物質と言われている二酸化炭素を多く排出する「火力発電所」を増やしたことによって、日本の電力会社の株を売却ししてしまったという話は有名です。
今回は、世界の主流になりつつある「ESG投資」について、入門編になりますが、わかりやすく解説してみたいと思います。
最後まで読んだ皆さんは、株の銘柄の選び方が変わるかもしれませんよ!
ESG投資とは?
ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。
特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティ(持続性)を評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています。
※持続可能な開発目標(SDGs:サスティナブル・ディベロップメント・ゴールズ)は、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs:ミレニアム・ディベロップメント・ゴールズ)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、2016年から2030年までの国際目標です(外務省ホームページより)。
詳細はこちら(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html)をご覧ください。
日本においても、投資にESGの視点を組み入れることなどを原則として掲げる国連責任投資原則(PRI)に、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に署名したことを受けて、国内にESG投資が広がっています。
PRI(国連責任投資原則)
国連責任投資原則(PRI)自体は、2006年にアナン元国連事務総長時代に公表されたものです。
PRIとは
- 私たちは投資分析と意思決定プロセスにESGの課題を組み込みます。
- 私たちは活動的な株式所有者となり、株式の所有方針と所有習慣にESG問題を組込みます。
- 私たちは投資対象に対してESG問題について適切な開示を求めます。
- 私たちは資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
- 私たちは本原則を実行する際の効果を高めるために協働します。
- 私たちは本原則の実行に関する活動状況や進歩状況に関して報告します。
機関投資家が環境・社会・ガバナンス(ESG)の課題を投資の意思決定に組み込み、長期的な投資リターンを向上させることを目的とした原則です。
ESG投資と切り離せない事項ですので、併せて掲載しました。
この投資に関する原則に賛同する投資機関は署名し、遵守状況を開示・報告することになっています。
2018年5月現在で、世界の投資機関1965機関(資産運用規模:約70兆ドル)が署名しています。
日本では、年金積立金運用独立行政法人を始め65機関が署名しています。
ESG投資の手法
世界の統計学的にはESG投資の手法を7つに分類しています。
- ネガティブ/排他的スクリーニング
- ポジティブスクリーニング
- 規範に基づくスクリーニング
- ESG統合型
- サスティナビリティ・テーマ型
- インパクト/コミニティ投資型
- エンゲイジメント・議決権行使型
それぞれ細かく説明すればわかりやすいですが、1つだけ説明すると、例えば「ネガティブ・排他的スクリーニング」であれば、特定の社会的または環境に対する基準を設け、それを満たさない企業を排除した銘柄に投資する手法の事になります。
アルコールやたばこ、ギャンブル製品の製造企業の銘柄は「罪ある株式」とも呼ばれ、これらを排除する投資信託も流通しています。
このように、ESGに配慮した枠組みを設けて、そこへ投資する投資手法をESG投資と言ったほうがわかりやすいと思います。
なぜESG投資が必要なのか
世界的に石油などの資源の枯渇が叫ばれることはもとより、地球温暖化などの気候変動の深刻化などにより、地球温暖化効果ガスの削減など世界では様々な規制が強化されました。
また自国以外の労働者を劣悪で低賃金で働かせるなど労働者の人権問題への関心も高まってきています。
投資家にとってこういった問題を無視して利益追求だけしていても結果として長期的には利益がなくなってしまうおそれがあり、ESG課題を看過できないとの認識が浸透しています。
また、後進国や発展途上国などの貧困問題等を解消していけば最終的には世界経済の規模拡大発展につながり、投資市場の拡大も図れるというメリットもあります。
世界的にこういった考え方に基づいた投資ルールなどを定めて遵守していこうという流れが強くなってきています。
まとめ
日本では、まだまだ浸透してきていませんが、世界的にはESG投資という手法はどんどん広がってきています。
国連でのSDGsやPRIなど、様々な目標設定や原則が定められ、国や日本の投資機関も参加してきています。
日本の企業が、SDGsなどの取り組みを進めていかなければいずれ海外の投資家は日本から去っていくことにもなってしまいます。ESG投資は避けては通れないものです。
投資信託でもそうですが長期投資をする場合は、特に押さえておかなくてはならない視点です。海外のETFなどもESG投資の視点を仕組んだファンドが人気となって行き視点から悪いとレッテルを張られた銘柄は廃止されるかもしれません。
急激に市場に影響を与えるものではありませんが、知識としてしっかり勉強しておきたいところです。
かく言う私も2年前に仕事の関係で受けた研修で始めて聞き、すぐには腑に落ちなかったものです。今でも勉強中です。
皆さんも時間を見つけて、ぜひ、勉強してみてください。